出井氏を招く「百度」の日本戦略 [SEO対策]

 中国のネット企業「百度」(バイドゥ、Baidu)は6月27日、ソニー前会長の出井伸之氏を社外取締役に迎え入れたと発表した。出井氏はソニーのトップを10年間も務めた人であり有名なわけだが、一方で、百度のことは「名前ぐらいは聞いたことがあるけど」という人も多いのではないだろうか。今回はまず百度の概要に触れつつ、出井氏が招かれた理由を考えていく。

■百度とはどんな会社か

 百度は、米グーグルやヤフーなどと同じ、検索エンジンを提供する企業だ。正式には百度公司といい、1999年に米国でコンピューター科学を修めた李彦宏氏を中心に設立された。李氏は、ウェブページ同士をつなぐリンクの結びつきをウェブサイトの評価につなげるというアイデアをベースに、検索エンジンを作り上げた。

 このような仕組みは「ロボット型検索エンジン」と呼ばれ、今日のグーグルやヤフーが採用するシステムと同じである。グーグルなどが主に欧米圏でのシェアを拡大していったのと同じように、百度の場合は中国での支持をとりつけていくことになる。

 中国におけるインターネット利用者の増加にあわせ、広告を中心とする収益を拡大。2005年には米国のNASDAQ市場への上場を果たしている。

 中国国内における百度の人気ぶりは圧倒的である。CNNIC(中国ネットワークインフォメーションセンター)の発表によると、2006年における百度の検索シェアは62.1%に達する。欧米圏では圧倒的な強さを見せるグーグルは25.3%と、大きく水をあけられた状況だ。

■強さの秘訣は何か?

 一般的に検索エンジンには、ヤフーのようにポータル(玄関)サイトとしてトップページに情報・リンクが多数用意されているものと、グーグルのように、「まずは検索ありき」のシンプルなタイプが存在する。

 百度のトップページを見ると、明らかにグーグル寄りのデザインであることが分かる(肉球のロゴはかわいらしい)。

百度のトップページ

 ただ一点、百度にあってグーグルにはない機能が存在する。ネット上にアップロードされている音楽ファイルに絞って検索することができる「MP3検索」だ(上の画像内のリンクに注目)。この機能は、少なくとも2002年の12月頃から搭載されていた模様で、百度によって検索エンジンがポピュラーになった中国では、主要な機能の一つと考えられてきた。

2002年12月ごろの「百度」トップページ Internet Archiveデータより作成

 実際、先のCNNICが06年6月に行ったアンケート調査では、検索エンジンを使う目的として最も多かったのは、音楽ファイルを探すという回答であった。複数回答方式の質問で、全回答者のうち30.5%が該当した。

 また、言語の問題もやはり大きいだろう。英語の場合、スペースを見れば単語の区切り位置が分かるが、中国語の場合そうはいかない。また、1バイトか2バイトかといったコンピューターの文字コードの問題もある。

 開発の前提となる言葉が異なれば、それぞれの得意とする検索対象ページも、おのずと自国語中心にならざるを得ない。これら、コンテンツや言語面における現地化で先行する百度が当然アドバンテージを持つことになる。
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